薄紅色の花を手に、はじっとその場に佇んでいる。
そこはスニオン岬・・・
ただ何をすることなく、じっと海を見つめていた。
遠く逝ってしまった愛しい人達を思いながら。
雨の日も嵐の日も・・・
そんなの体調を心配していた黄金聖闘士が一人、
の方へと近付いて行った。
「・・・今日は風が強い・・・春とは言えこのままでは体を壊す」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・私は・・・・お前の悲しみを救ってやる事は出来ないのか?」
蒼翠の髪を靡かせ、水瓶座の聖衣を纏う男は、すっとの隣に座った。
「ねぇ、カミュ」
ようやく口を開いたは視線を海から外す事なく話始めた。
「こんな悲しみを得る為に・・・人は生きているの?」
「・・・」
「こんな苦しみを得る為に・・・貴方達は戦ったの?」
「・・・・・・」
「私はそうは思わない」
カミュは自分のマントをそっとの肩にかける。
そしてその顔をこちらに向けさせて柔らかな眼差しでを見た。
「確かに・・・悲しみや苦しみは生きている限り訪れるものだろう・・・だが」
「だが?」
「それと同じくらい・・・喜びや安らぎもあるのではないか?」
「・・・・・・・」
「少なくとも・・・・私はといると安らげる・・・」
「カミュ・・・」
「だが。今のようなの姿を見るのは苦しい・・・だから」
そう言うとカミュは優しくの体を抱きしめた。
の目には涙が溜まり、それがつぅっと頬を伝って流れ落ちる。
カミュはそっとその頬に唇を寄せて涙を拭き取る。
「カミュ・・・・私の・・・存在意義って何なのかな」
「そうだな・・・・例えば私の存在意義はが生きるこの世界を守る事だ。」
「・・・・・・・・」
「だから・・・・の存在意義は・・・・」
そう言いながらを立たせる。
夜風に二人の髪が靡く。
はカミュが言いかけた時にふわりと微笑んでカミュの口をそっと手で押さえる
「私の存在意義は・・・私が見つけるわ」
その頬笑みにカミュも同じように微笑んだ。