貴方が包んでくれるその温もりが私に力をくれる。
ただ、側にいて…私を包んでください…
金牛宮でアルデバランはそわそわしていた。
今日は久しぶりに会える人がいる。
「アルデバラン様ーーー!!」
白羊宮からの階段を登って来る白い影。
黒髪をなびかせ、大きく手を振る人。
「!待ちわびたぞ!!」
アルデバランは、息を切らせながらもにっこりわらうを見て微笑んだ。
とこうして逢うようになってから3ヶ月。
初めは他の聖闘士達からからかわれていた。
ようやく牛にも春が訪れたか…と。
しかし、彼らは喜んでいたのだ。
アルデバランの優しさと力強さを知っているから。
「どうしました?アルデバラン様、何か凄く楽しそう!いいことありましたか?」
はアルデバランの顔を覗き込む。
思わず、アルデバランは顔を赤らめた。
そんなアルデバランを見て、はクスクスと笑う。
「なっ…何がそんなに可笑しいのだ!」
「だって、アルデバラン様のお顔真っ赤なんですもの!」
「の顔がそんなに近くにあるからだ!」
そう言ってアルデバランはを肩に担いだ。
「きゃっ!いきなり何ですか〜!!」
「こんなところで立ち話も何だからな…部屋に行こう。」
「もうーーー歩けますよ???」
「俺がこうして行きたいんだ。」
そう言いながらアルデバランは部屋に向かって歩き出した。
は大人しくアルデバランの肩に座っている。
部屋に着くと、そっとソファの上に降ろされた。
目の前のテーブルには。が好きな甘さ控えめのお菓子があった。
「これ、用意してくださっていたのですか?」
「ああ、お前はあまり甘いものが好きではないからな。俺もこのくらいの甘さが好きでな…」
そう言いながら紅茶を注いだアルデバランは、の隣に腰掛けた。
「んんんーーーおいしっ!!」
「そうか、よかった。」
暫くの間、他愛もない話をした二人。
ふと、アルデバランは自分の肩に温もりを感じた。
「?」
「んーー少し眠くなっちゃって…」
は、アルデバランの肩に寄りかかる。
アルデバランは、の身体をそっと横にし、自分の膝の上に頭を乗せた。
そして、の顔を見つめる。
長い睫毛…もともと色白なのか…黒髪に映える綺麗な青い瞳。
どれもアルデバランが愛しく感じるものだった。
「…」
「何ですか〜アルデバラン様…」
「俺は…俺は…お前が…」
「私が何です〜?」
「………お前が好きだ!」
「はい…私も好きですよ〜」
そう言って微笑み、静かに瞳を閉じる。
告白されてすぐ寝るやつがいるか…
全く…本気と取ってもらったのか…
アルデバランはすでにスヤスヤと寝息を立てるの髪を撫でた。
そして、その身体をそっと抱き上げて自分の寝台へ寝かせた。
「本当に…柄にもない…」
アルデバランは苦笑すると、そっとの頬に口付けた。
「俺が好きなのはお前だけだ…。」
3時間後、起きたは驚いた。
自分の隣で、少年のような顔をして眠るアルデバランを見て。
その表情は、本当に優しいもので、安らいでいた。
「アルデバラン様…ずっと私に温もりを与えてくれますか?」
そう呟くと、アルデバランの唇に自分の唇を重ねる。
触れるだけのキスの後、離れようとした瞬間抱きしめられた。
「アルデバラン様!!おっ…起きてらっしゃったんですか・・・///」
「…今起きた。…、不意打ちはないぞ…」
そういうアルデバランの顔は、と同じくらい赤かった。
「…俺でいいなら、ずっと暖めてやる…。」
「えっ?」
「だから…その…いつも俺の側にいればいい。」
「・・・はいっ!!」
はアルデバランに抱きついた。
それをそっと抱きしめ返すアルデバラン。
優しく…力強いその温もりで、私を幸せにしてください。
そうすれば、私はきっと貴方を幸せにして差し上げることが出来るから…