私は君を愛して止まない・・・
こんな私を君は笑うだろうか・・・






アフロディーテは自慢の薔薇園で紅茶を飲んでいた。
ふと香る薔薇の香水。
アフロディーテは、その香がする方へ視線を移す。
そこには、自分が愛している女性の姿があった。
腰ほどの黒髪をなびかせ、その蒼い瞳でアフロディーテを
探していた。

「やあ、。」

「ご機嫌いかがかしら?」

と呼ばれた女性は、優しく微笑む。
そんな彼女を見て、そっと手を伸ばす。
アフロディーテは彼女を引き寄せ、強く抱きしめた。

「どうしたの?」

「愛しい人を抱きしめるのに理由がいるかい?」

「いいえ、でも急に抱きしめられたから・・・」

は、アフロディーテの膝の上で苦笑する。
アフロディーテの髪をそっと撫でると、静かに微笑む。

「相変わらず憎いほど綺麗よね、アフロディーテは。」

「そうかな?私はの方が美しいと思うよ?」

そう言っての頬にキスを落とす。
くすぐったそうに目を細めるを見て、
アフロディーテはくすりと微笑んだ。
そして、の首元に顔を埋めた。

「ねぇ、。」

「何?」

「もう少し・・・こうしていてもいいかい?」

アフロディーテの腕に力がこもる。

「今日は甘えん坊さんなの?」

「いや・・・ただこうして君を感じていたい・・・」

は、そんなアフロディーテを見て微笑む。


彼がこうして甘えてくる時は、
何か心配事があったり、疲れが酷い時だから。
ここ暫く聖域は平和そのものだった。
仕事の量も増えてはいないはず。


だからは何か心配事でもあるのだろうと思った。

「何か心配事でもあるの?貴方がこうして甘える時はそうだもの」

にはかなわないね。」

アフロディーテは顔を上げ、にそっと触れるだけのキスをする。

「笑わないかい?」

「ええ。」

「止められないんだよ・・・」

「何を?」

が愛しいという感情が・・・が欲しくてたまらない・・・」

その言葉を聞くと、は優しく笑う。

「笑わない約束だったはずじゃないか?」

「いいえ、ごめんなさい。ただ・・・」

「ただ、何だい?。」

「アフロディーテが、私と同じ気持ちだったから・・・」

その言葉を聞くと、アフロディーテはくっと笑った。
そしてにもう一度キスをする。
今度は深く、甘いキス。

「・・・んっ」

「ねぇ、。」

顔を少し離し、その両手での頬を包む。
の瞳には、アフロディーテの顔だけが映っている。

「君が欲しくてたまらないと言ったけど・・・」

「言ったけど何?アフロディーテ。」

「今すぐ私にくれないか?と聞いたら、君はどうする?」

その言葉には自分の頬を包むアフロディーテの手の上に、
自分の手をそっと重ねる。

「どうするって・・・愚問だわ。」

勝気な笑みでアフロディーテを見つめる。
そして、耳元で囁く。


『貴方なら、いつでもいいわ』


と。
そんなの言葉を聞き、また笑うとゆっくりと立ち上がる。

「きゃっ!」

急に抱き上げられ小さな悲鳴を出す
そんなを腕の中に抱えるアフロディーテは、
にキスをし続ける。
そして、その足は双魚宮の寝所へと向かう。


「んっ・・・アフロディーテ?」

ベッドの上にゆっくり降ろされ、の身体の上には
アフロディーテが覆いかぶさっている。

「いつでもいいと言ったのは君だからね、。」

「そうね、お手柔らかにね。」

「どうだろうね。とまらないって言っただろう?」

「くすっ・・・んっ」

はゆっくりとアフロディーテのキスを受け入れる。
瞳を開ければ、視線が絡む。
その視線はどこまでも熱く、どこまでも愛情に溢れていた。


、君を愛しているよ・・・」





そしてゆっくりとその2つの影は重なった。



君は笑ったね。
でもそれは同じ気持ちだったからなんだね。
愛しい感情はとめられない。
覚悟を決めるんだね。
私は決して君を離さないのだから・・・
永遠に・・・