何が不満か・・・
そんな事聞いても仕方ないじゃない。
だって・・・
私だけが不満があるわけじゃないんでしょ?




宝瓶宮ではカミュが一人読書をしていた…
いや、もう一人その場にいたのだが…

「どうした?」

カミュは自分の膝の上で俯くに視線を移す。

「どうしたって…どうして私はここにいるの?」

「私がいて欲しいからだ…不満か?」

「不満…はないけど…どうしていつも膝の上に乗せるの?」

の温もりを近くで感じていたいからだ…」

そういってまた本に視線を移した。
本当はそんな言葉を聞きたいわけではなかったが、
は取り合えずカミュを見つめた。


『綺麗な人だな・・・相変わらず・・・』


そんな事をいつも思う。
男なのに赤いマニキュアをして、切れ長の目で真っ直ぐ見つめてくる。
そんなカミュをは好きになった。

「・・・

「ん?」

「私の顔に何か付いているのか?」

「何で?」

「ずっと私を見ているだろう?」

そう言えばそうね、とは微笑む。

・・・」

もう一度名を呼ばれ、まっすぐにカミュを見つめる。

「なぁに?」

「私は本当にお前を愛しているよ」

「いきなり何を言い出すかな〜この人は・・・」

「いきなりではない・・・いつも想っているのだから」

そう言うとカミュはそっとにキスを落とした。
少し頬を赤らめながらもは喜びを隠せない。
そんな素直なを見て、カミュは微笑む。

「私は本当に幸せなのだが・・・」

「なのだが・・・何か不満?」

「いや・・・」

「言ってよ〜気になるじゃない!」

「・・・・・・・・・いいのか?」

「はっきり言わないカミュは嫌い!!」

そう言ってカミュの膝の上から降りようとする。
が、後ろからカミュに強く抱きしめられた。

「カ・・・カミュ!!!!」

「私はまだ、の口から聞いていない・・・」

「へっ?」

「私を愛していると・・・」

真剣な眼差しでを見つめるカミュ。
確かに、はまだ一度もカミュにその言葉を告げていない。
もちろん、『好き』や『大好き』といった言葉は言っていたのだが・・・
カミュにとってそれが不満らしかった。

「う〜言わなきゃだめ?」

「私ばかりで不公平だと思わないのか?」

「だって・・・」



だって恥ずかしいじゃない。
カミュみたいにすっと言えるのが一番だと思うよ。
でも、私は『好き』って言うのもやっと慣れたばかりなんだよ?



そんな表情でカミュを見つめる。
しかし、カミュは知ってか知らずかにもう一度聞いた。

「私には言ってもらえないのか?」

「・・・・・・・・・る。」

俯いてはボソボソと呟く。

「そんな小さな声じゃ聞こえない・・・」

「・・・・・・・・・てる。」

カミュは微笑みながらの顎に手を沿え、自分の方を向かせる。

・・・ちゃんと言ってくれ」

少しずつ顔が近くなる。
唇が触れるか触れないかの距離まで・・・
そこまで近くなっているのに、カミュはじっとを見つめる。

「・・・愛してる・・・」

「もう一度・・・」

「愛してる・・・カミュだけ・・・」

「私もだ、だけを愛している・・・」

そう言うとに深くキスをする。
そのキスはとても熱く・・・
うっとりとした表情でいる

「は・・・恥かしい」

「すまなかったな・・・どうしても聞きたかった。」

「どうして?」

「私だけが・・・愛しているのではないと実感したかったからな」

カミュは微笑みながらの髪を撫でる。

「お互いが一番お互いを想っていたいと・・・愛情も不満も・・・」

「いつでも言い合えるような?」

の言葉に頷くカミュ。

「だから聞きたかった・・・の口から・・・」

少年の様な顔でを見つめるカミュ。
本当にこの人が好きだと・・・
改めては思った。
そして、カミュを抱きしめて耳元で囁く。

「・・・愛してるよ・・・カミュ」

顔を見ると、真っ赤にしている
そんなを見て微笑むカミュはまたキスをする。
そして耳元で囁く。


「本当に・・・愛しているよ。だけを・・・」




不満はたくさんあるけれど、貴方の不満は私の言葉だったのね。
でもこれからはそんな不満はなくしてあげる・・・
一度言ってしまえば・・・
愛しているなんて・・・
これほど貴方を想っているのだから・・・