ふわりと香るのは雪の匂い・・・
天を見上げれば、澄み渡った蒼をしている。
しかし、それでも舞い落ちる白い羽根。
その羽根に手を伸ばせば、すっと消えていく。
「・・・風邪を引くぞ・・・。」
ふっと振り返れば表情を変えずにこちらを見る黄金の人が立っていた。
「・・・大丈夫だよ・・・寒くないから・・・・
それにこれは貴方がやっているんでしょ?」
そう言ってまた羽根に手を伸ばす。
黄金の人・・・カミュはの言葉に苦笑すると、すっと自分の肩に手をやる。
そして纏っていたマントを取り外すと、そのままの肩にかけた。
「ありがとう。」
「いや・・・・」
そう言ってそのままふいっと空を見上げるにカミュは
少し怪訝そうな顔をした。
「何か私に言いたいことでもあるのか?」
「どうして?」
「貴女がそのように空を見上げている時はいつもそうだ。
考え事をしている時か・・・落ち込んだ時か・・・・」
するとはふふふっと微笑み、マントをまるでドレスのように
翻しながらカミュを見上げた。
「少しは心配してくれているのかしら?
水と氷の魔術師さん?」
「そうだな・・・私の姫君は手がかかるからな。」
「酷いわ?私は素直で優しいじゃない?」
そう言いながらその場で小首をかしげつつ微笑む。
カミュはそんなに内心苦笑した。
しかしそのまま腕を伸ばすと、をすっぽりと腕の中に納めた。
「あまりそんな顔で私を見ないで欲しいものだな・・・」
「どんな?」
「挑発的な視線・・・・とでも言った方が分かりやすいだろうか?」
「・・・・・・・・・・・・あんまりそんなつもりはないのだけど?」
そっとカミュの顔にかかった前髪をどけながらその頬に触れて微笑む。
カミュはその腕に力を少しだけ込めてゆっくりとの首筋に顔を埋めた。
「くすぐったい・・・・」
「そうか?」
「うん・・・でも・・・」
「でも?」
「カミュは凄く暖かい・・・・」
その言葉にカミュは思わず口元を緩める。
「貴女も同じだ、。」
「ん?」
「貴女は凄く暖かい・・・」
「同じだね・・・二人とも・・・・」
「ああ・・・・」
そう話すとカミュは顔を上げてを見る。
じっとの瞳を見つめた後、くすりと微笑んだ。
「どうしたの?」
「その瞳にいつまでも私だけを映していて欲しいと思ったのだ。
・・・・どうも私は貴女の前だとクールには出来ないようだな・・・・。」
くすくすとは微笑むと、そっとカミュの背に腕を廻した。
「私もそれは同感だわ・・・貴方のその瞳には私以外映して欲しくないもの。
もし、それが叶わないのなら発狂してしまうかもよ?」
「それは大変だな・・・だが安心していい。」
その言葉に安堵の表情を浮かべる。
と、冷たい羽根がの口唇に触れた。
それをカミュはくすりと微笑みながら指でなぞる。
少しくすぐったそうにしながらも、はそっと瞳を閉じた。
それを合図のように触れ合う口唇はとても熱く甘い。
「ねぇ・・・どうして雪降らせてるの?」
「降らせているつもりはないのだが・・・・
如いて言うなら貴女のせいだよ、」
「ん?」
「貴女が先ほどサガと話をしていただろう?」
「ええ、でもそれは執務の事だわ?」
「それでも私は嫉妬しているのだ。・・・・・どうしようもないな・・・」
と困ったように苦笑するカミュに、はくすくすと笑う。
「本当に・・・クールな貴方はどこに行ったの?」
「さて・・・私もまだまだという事か・・・・」
そう言いながらもカミュはもう一度に口付ける。
「このまま・・・貴女を閉じ込めてしまおうか・・・」
「貴方になら・・・とは思うけれど・・・氷の中だけは嫌よ?」
「くすくす・・・そうだな・・・・」
「せめて貴方の腕の中だけにして頂戴・・・カミュ」
そう言ってカミュの胸に顔を埋める。
いつの間にか空から舞い降りる羽根はなくなっていた。
「あっ・・・」
「どうした?」
「カミュが落ち着いた・・・」
「??」
「だって雪降ってないもの・・・」
「・・・・・・・・・」
「大好きよ?」
「・・・・・不意打ちはいけないと思うのだが・・・」
「恥ずかしいのは私よ。あっ・・・もしかして照れてる?」
「・・・・・・・・・/////」
少し頬を赤らめている愛しい人を見て微笑む。
そんなを愛おしそうに見つめるカミュ。
「・・・」
「なぁに?」
「愛している」
「////////////」
「どうした?」
意地悪そうに笑うカミュに真っ赤になりながらは呟いた。
「カミュこそ・・・不意打ち・・・・」
「お返しだ。」
「でも嬉しい・・・私も愛してるから。」
空から白い羽根が舞い落ちる日は・・・
貴方が私を想っている日だと・・・
これからはそう思えるかな?
大好きな貴方が私だけを想っているのだと。