私の姫はいつも我儘
そんな我儘がとても可愛いと思うし
そして・・・何よりも愛しい姫
宝瓶宮の居住区
そこにあるソファの上で小さく欠伸をする娘…に
カミュは読んでいた本を閉じて微笑む。
「、眠いのか?」
「ん?少し」
時計を見ると午後11時を回ったところだ。
カミュは立ち上がり、本を棚に戻すとの隣に腰掛ける。
「ああ、もうこんな時間だ。眠ったほうがいい。」
ところが…
「やだ」
カミュの思ったとおりの返事が返ってきた
「全く…」
その自分の期待を裏切らない返事に苦笑しながらも
の頭をそっと撫でる。
そして顔を両手で自分の方に向けるとその唇に軽くキスをする。
「…」
「やだ!」
「夜更かしは体に毒だぞ?」
「うん」
「だから早く寝…」
「やだ!!」
そう言うと、カミュに背を向ける。
普段は我がままではないにしろ、いつもこの時間のは我がままになる。
その理由をカミュは知っていた。
「では私が先に眠ろう。」
「えっ?」
「そうすればお前も眠るだろう?」
「で、でも書類とか仕事に支障あるんでしょ?」
「あるにはあるが、そんなことよりも…」
そう言うとカミュはすっと立ち上がると同時にを抱き上げた。
「わわっ…」
「私にはの睡眠不足の方が支障が出るからな」
カミュは不敵な笑みを浮かべるとそのままベッドルームにを運ぶ。
は少し顔を赤くしながらカミュの腕の中でおとなしくしている。
ぽふっと小さな音を立て、ベッドに下ろされたは
自分の隣に横になるカミュをじっと見つめた。
「どうした?」
「んーー」
また小さな欠伸をするにカミュはふっと笑うと、
の腕を掴み、ぐいっと自分の方に引き寄せる。
その思いもよらない行動にはカミュの胸に倒れこむ。
「あっ…」
「困ったな…」
「え?」
「そんな風に見られると…な…」
「??」
「………私も男なんだが?」
その言葉にはハッとする。
カミュを少し上目づかいに見ていた自分。
肩の羽織が少しずれ、肌が露出していた。
「あ!もう!カミュの馬鹿!!」
「くすくすくすくす」
そう笑うカミュはの体を上にずらすと
その額に軽くキスをるす。
そのままカミュはを抱きしめると、
子供をあやすかのようにの頭を撫でた。
「さて、眠るか」
「う…ん」
「安心しろ」
「?」
「嫌なのだろう?寝顔見られるのが」
「知ってたの?」
「だから私より先に寝ようともせずに、私より早く起きていたのだろうからな」
そう言ってポフっと布団をの顔に掛ける
「わっ」
「安心して眠ればいい」
そう言うとカミュは静かに瞳を閉じた。
「………本当に気付いていないのだな」
明け方、隣に眠るを見てカミュは優しく微笑む。
自分の緋色の髪をくすぐったそうにして眠るに
カミュは軽く唇を落とす。
「本当に、我儘な…いや、私だけの愛しい姫だな」