目の前に倒れる人・・・人・・・人・・・
今まで一緒にいた友人達の骸を目の前に、
震える体と漏れそうになる声を必死に抑えるが、
それも無駄だった。
「そこにいたのか・・・」
「ひっ・・・」
男たちが厭らしい笑みを浮かべて近寄ってくる。
その場を離れようとするが、恐怖で思うように体が動かない。
「こいつは上玉だな、巫女服って事は、まだ生娘か?」
「へへっ、こりゃいい。おい、誰からだ?」
「そりゃ俺だろう?」
リーダーらしき男が近寄り、手を掴む。
「いっ・・・いやぁ!!!!!離して!!!!」
「元気がいいな、これくらいなきゃ犯しがいがないってもんだ」
「だ、誰か・・・助けてーーー!!!」
「誰も来ねぇ・・・・ょ・・・・がっ・・・・」
ドサッと音を立てて男が足元に倒れる。
「あ・・・」
「貴様らか・・・最近この辺りの婦女子を狙っていると言うのは・・・」
そう言って髪をなびかせ、身の回りに氷の結晶を纏う黄金の人。
野党共はその姿を見ると、すぐさま逃げ出した。
「怪我はないか?」
振り向いたその人は先ほどとは全く違う優しい笑みを浮かべて、
膝をつき、視線を合わせて手を差し出す。
「あ・・・ありがと・・・ございます・・・水瓶座の黄金聖闘士、カミュ様」
「全く・・・心配したぞ・・・」
「すみません。」
「・・・・・すまない。」
「え?」
「救ってやれなかったな・・・」
カミュはの体が震えている事に気付き、そっと手の平に小宇宙を集中させた。
するとそこにはキラキラと輝く氷のかけらが生まれる。
「これは永久氷壁と同じく、溶けることのない氷だ。」
「ぁ・・・」
その氷に魅入るにカミュはフッと微笑む。
「これはお前にやろう、」
「えっ・・・でも・・・」
「?・・・ああ、そうか。」
じっと手に移された結晶を見ていたにカミュは何やら気付いて、
そっと結晶の上に手をかざす。
すると、小さな氷の粒が結晶の頂点から現れる・・・
「冷たくはない・・・冷たいのは結晶だけだ。」
「ぇ・・・いや・・・そうじゃなくて!!!」
カミュはの首にその氷粒のチェーンが付いた結晶をかけてやる。
それだけでの顔は段々真っ赤になっていく。
「あの・・・知ってます?聖域では結構カミュ様の事を慕っている女官がたくさんい・・・」
「お前は違うのか?」
「え・・・・あの//////」
「私はお前がいい。」
「カミュ様!!お戯れも・・・」
「私は戯れなどでこんな事は言わない。私はが好きだ」
「・・・カミュ様・・・・・」
カミュはギュウっとの体を抱きしめた。
「お前が襲われているのを見て、気が狂いそうだった。」
「カミュ様」
「本当はあれだけでは物足りない。永久氷壁に閉じ込めてやろうとも思ったくらいだ」
「そ・・・そんな・・・・」
カミュはの体を抱きしめたまま、そっとその額にキスをする。
とたんにの鼓動は破裂してしまうのではないかと思うくらいに跳ね上がった。
「拒まれなかったという事は・・・期待してもいいのか?」
「・・・・・はい、私も・・・カミュ様が好きです」
「」
そう言うとカミュはの体を抱き上げた。
は小さく悲鳴をあげる。
その様子にカミュはクスリと笑った。
「まるで仔リスだ。」
「あの・・・・恥ずかしいんですけど・・・」
「そうか?私は、これでに手を出すものがいなくなって嬉しいのだが?」
「えっ?・・・・っ・・・・ん・・・・」
不意に顔を上げた瞬間、唇をカミュに奪われる。
そしてそっと唇を離すとカミュはの耳元で囁いた。
「お前を狙っている黄金聖闘士はたくさんいるからな。」
そう言ってもう一度にキスをした。
後日、を抱いて帰ってきたカミュを見たムウの情報がテレキネシスで聖域中に知れ渡ったのは言うまでもなく。
それを知った自称ファンクラブ1号のシオンからの書類整理と言う名の嫌がらせがあったのは必然だったとか。