逃れられない運命ならば
私は貴女を護る事を考えて逝こうか
「何故・・・君が・・・ここに・・・いるんだ!!!!」
「・・・デジェル」
目の前の光景に信じられないと驚くデジェル。
自分が育ったシベリアの白銀の世界に舞い上がる漆黒の闇。
春の柔らかな日差しのような笑顔は
今や暗闇のような冷たい冷笑に変わっている。
自分を見るの姿に、デジェルは愕然としていた。
漆黒の衣・・・冥王軍の証・・・冥衣。
「一体・・・何故・・・!!!」
「私は冥王軍、天彗星ステュクス・・・・お前を通すわけにはいかない」
「何・・・故・・・」
「この先はポセイドン神殿への道・・・お前のような者を通すわけにはいかない」
「そこをどくんだ!!!!」
「・・・・・・・・私はステュクスだ!!!」
そう言うと、全身から闇色の小宇宙を漂わせる。
手を高く上げると、の後ろには冥府にあろう河の流れが現れる。
「やめろ!!私は君と闘いたくはないっ!!!」
「黙れ!!水瓶座!!!アイシングクラッシュ!!!」
「くっ・・・!!!」
氷壁に激突するデジェル。
ガラガラと音を立てながらその体に氷が堕ちる。
足音を立てて、はデジェルに近付いて行く。
「!?」
「・・・・闘うしか・・・ないのか・・・・・・」
「・・・・・氷の・・・結晶?」
「・・・・ダイアモンドダスト!!!」
「・・・ふっ!!」
高く飛び上がるとデジュルが放ったダイアモンドダストを避ける。
そのまま空中でくるりと回転し、体制を整えると、ニヤリと笑った。
「さすがはアテナの聖闘士。・・・だが甘い!!」
「!!!」
「私も使えるぞ!!ダイアモンドダスト!!!」
「くっ!!」
パリンと音を立てて、デジェルはが放ったダイアモンドダストを散らせる。
「覚えているか・・・。」
「・・・・・・・」
「あの日・・・君は私の想いを受け止めてくれた・・・」
「・・・・・・・」
「君を愛して・・・私はアテナと君の為に闘おうと・・・」
「・・・・お前は私、この地を捨て聖域に行った」
「違う!!」
「何が違うものか!!私はアテナを!聖闘士を決して許さない!!!死ね!!水瓶座!!」
「!!!」
「黙れーー!!!アイシングクラッシュ!!!!」
が放った技を必死に防ぎながら、デジェルは両手を合わせる。
「・・・・・・・君を愛している・・・・せめて・・・この拳で・・・オーロラエクスキューション!!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
デジェルはゆっくりとの体を抱き起こす。
悲痛の表情でを見つめた。
「・・・何故・・・」
「・・・・ああ、デジュル」
「!!」
わずかに開いた瞳は真っすぐにデジェルを見つめた。
そっと手を伸ばし、デジェルの頬に触れた。
「行くの・・・でしょ?」
「ああ・・・だがを置いてなど・・・」
「大丈夫・・・だか・・・ら」
「大丈夫なものか!!」
「・・・・私はもう死んでいるから・・・ほら・・・ね?」
そう言って笑う。
少しずつ、の体が透明になっていく。
「!!」
「貴方がここを経ってから間もない頃に・・・ね」
「そんなっ・・・」
「寂しかった・・・一緒に生きたかった・・・貴方にもう一度逢えてよかった・・・デジェル・・・」
「・・・!?」
「さよなら・・・ね」
「私は!!二度も貴女を苦しめるというのか!!」
「デ・・・ジェル・・・私・・幸・・・せだよ」
「!!」
「だって・・・今回は・・・一人じゃないから・・・大好き」
「ーーー!!!」
冬の白い結晶の中で 初めて貴女に触れた時の微笑みを
貴女の流した涙が世界を覆うような哀ならば
私は貴女の涙が流れぬように
全身で貴女の哀を受け止めよう
貴女の見つめる世界が決して哀で染まらぬように
私は全てを投げ出そう
貴女が紡ぐ言葉が世界を包み込む愛ならば
私は貴女の想いが永久に続くように
全身で貴女の愛を語り継ごう
貴女の見つめた世界が慈愛に満ちたものになるように
私は全てで守り抜こう
私が全てを賭して護ろう
貴女の微笑みを
貴女の温もりを
貴女の慈愛を
貴女の言葉を
貴女の命を
My Goddess