愛してるなど何回言っても物足りない。
それくらい愛している。
お前だけを・・・

【愛しき君へ】


新年というのはどこの世界でも同じだと思う。
大好きな家族や恋人と新しい年を祝う。
それはここ聖域でも同じことだった。


「新年だな。」

「ああ。」

サガはデスマスクと話をしていた。
今日は年明けでまだ間もない。
アテナは日本で星矢たちと初詣というものに行っている。

「やあ、デスマスクにサガ。今年はいい年になるといいね。」

「二人が一緒だなんて珍しいな。」

アフロディーテとシュラが二人を見つけ十二宮の階段を下りてくる。
新年から3日間、はアテナの計らいもあって聖域全体が休みになっていた。

「たまたま街に行こうかという話になってな。私も用事があったし。」

そう言って笑うサガ。
そんなサガを3人は珍しそうに見ている。

「サガ、最近何か柔らかくなったな。」

シュラの言葉に頷く3人。

「そうか?」

「ああ、普段のお前なら「デスマスク一人だと・・・」とか何とか言ってるし。」

デスマスクが少し不満そうに言う。

「ほお、少しは自覚があるようだな。」

サガの言葉にアフロディーテとシュラは笑う。
やはり面白くないデスマスクはふっとサガの首に掛かるものを見つけた。

「それ、もしてたよな。同じもん・・・」

「!」

「!」

驚くのはアフロディーテとシュラ。
サガは苦笑するとペンダントをそっと服の中に隠した。

「変なところで鋭いな・・・お前は。」

「何ーーー!!おま・・・」

デスマスクの言葉は最後まで続かなかった。
なぜなら・・・

「サガー♪」

そこにが現れたからだ。
はペコリと3人にお辞儀をしたあと、サガに向かって微笑む。

「サガ、今日は皆さんとお出かけするの?」

「ああ、少し用があるのでな。すまない。」

「いいよ、気にしないから。それじゃ気をつけていってらっしゃい♪」

はそう言うと双児宮へ入っていった。
唖然として二人を見ていた3人ははぁとため息をつく。

「どうしたというのだ。」

不審そうにサガが聞くとシュラが口を開いた。

「あー、つまりだな。どうしてがお前と同じペンダントをしているのか・・・
という愚問に行き当たるわけだ。少なくとも俺達はを気に入っている。」

その言葉にサガはくくっと笑い、答えた。

「ああ、愚問だな。」












その夜、ようやく帰ってきたサガは疲れていた。
昼は結局街には行けず、との事について質問攻めに合っていたからだ。
いつから付き合い始めたのかだのどちらからアプローチしたのかだの。
果てはどこまで事が進んでいるのかだの。

「全く・・・あいつらの頭の中はどうなっているのだ・・・」

ソファにポスっと座るサガ。

「はいっ!濃い目のコーヒー♪」

すっと差し出されるコーヒーを飲むサガ。
その隣に座るはオレンジティーを持っていた。

「ねぇ、サガ。」

「何だ?」

擦り寄ってくるをそっと抱き寄せる。
からは甘い香水の香りが香る。
それはサガがに似合うだろうと言って買った香水。

「私、サガの側にずっといれるかな?」

「くくくっ・・・」

「ああ!笑ったな〜もぅ・・・」

「すまない。あまりにも変なことを言うから。」

少し不貞腐れているの顎を掴みそっと口付ける。

「ずっとなど、当たり前ではないか。永遠に・・・だ。」

「サガ・・・」

「私はを離す気はさらさらないし、私の想いも永遠にお前だけのものだ。」

そう言ってひょいっとを抱き上げる。
急に抱き上げられたは驚くも、きゅっとサガにしがみ付く。

を愛している。これからも永遠に。不服か?」

そう言って微笑むサガには首を振って笑顔で答える。

「そんな事ないもん。不服なんてむしろ嬉しくて死んじゃいそう!」

「はははは、死なれては困るのだがな・・・」

「でも永遠なんてちょっと照れるな〜」

少し頬を赤らめ、冗談っぽく言うにサガはそっと口付ける。
そして、しっかりの目を見て答える。

「私は本心を言ったまでだよ、全くどこまでお前というのは・・・」

「お前というのは???」

「本当に可愛いと想ってな。」

「サガっ!!!!」

「ところで。」

「何?」

「この状況、分かっているのか?」

ふとは気付く。
サガの足取りは確実に寝室へと向かっていた。

「あっあの〜それは・・・」

「とにかく私は明日から執務だ。時間が惜しいのでな。」

クルクルと表情を変えるを見てクスクスと笑うサガ。
本当に見ていて飽きない。
むしろ愛しさが増す。

「今日は寝かせる気はないからな。」











何万回「愛している」と言っても足りない。
それほど君を愛している。
このまま永遠に私はお前のものだ。

そう・・・愛し君へ