離したくない・・・
ずっと側にいたい・・・
誰にも渡したくない・・・
そんな事を言う私を貴方は何て言うでしょう?
らしくない?
嫉妬深い?
束縛してる?
それでも構わないのです。
どうしてこんなに胸が苦しくなるのか・・・
仕事とは言え、私以外の誰かと話をしている貴方を見るだけで不機嫌になる・・・
そうか・・・
私はこんなにも貴方を想っているのです。
「、どうした?」
何でもないと首を振る私に貴方は笑みを浮かべる。
ああ、出来る事ならその笑顔は私だけに見せて下さい。
どんなに離れていても、私は貴方の帰りを待ち続けていました。
任務の時も・・・十二宮の闘いの時も・・・聖戦の時も・・・
貴方の笑みを見られるだけで私は幸せだったのです。
でも・・・・
いつからか・・・・
私の中に何か生まれてきてしまった・・・
「貴方を愛しています」
「・・・すまない・・・その想いに答えてやれない・・・」
ああ、どうして貴方は聖闘士なのでしょう
どうして神様は私にこんな感覚を与えてしまったのですか?
地上の愛と正義を護る聖闘士を愛する事は出来ないのですか?
「!?」
倒れた私の側に駆けよる貴方・・・
「だから休めと言ったんだ!!」
どんなに貴方が怒鳴っても、私は貴方の側にいたかった。
ずっと、貴方の側で、貴方の声を聞いて、貴方の姿を見つめていたかった
ただ・・・それだけ・・・
それだけでも・・・
私にとっては本当に大切な・・・大切な事で
何があっても譲れない事
心配そうに私を見る貴方・・・
この瞬間は私だけに視線をくれる貴方。
私だけに心奪われている瞬間。
卑怯かもしれないけれど・・・
私にはこれしか貴方の気を引く事が出来ないのです。
だからいつもいつも、貴方の気を引く為に
体を酷使して、貴方の目の前で倒れて見せる。
そうすれば・・・
貴方は私だけを見て、私をその腕に抱いてくれる。
私の想いを知っていながら
貴方は顔色一つ変えもせずに私を抱いてベッドへ運ぶ。
「大丈夫です・・・もう大丈夫です。」
「何が大丈夫なものか。顔色も悪い・・・休むんだ」
「ですが、そんな事をしていたら仕事が出来ません」
「そう言って、一昨日から帰っていないのだろう?ろくに睡眠も取らずに・・・」
「サガ様、貴方もそうではないのですか?」
「私は平気だ・・・だからゆっくり休め」
そう言いながら、貴方は私の髪を撫でてくれる。
「・・・っ!?」
その手を握って、私は真っすぐに貴方を見た。
初めて・・・貴方に触れた。
ただ、手を握っただけなのに・・・
私の目からは止めどなく涙が溢れてくる・・・
「・・・すみません」
「・・・・・・・い、いや・・・・」
それだけ言うのが精一杯な私。
すっと手を離すと、貴方から視線をそらすように窓を見た。
だけど・・・
貴方の視線を感じて、私は振り返る。
「・・・・・・っ!!!!」
「どうしまし・・・・」
ふいに力強く抱きしめられた。
初めて・・・触れるその温もり。
「・・・私は・・・本当は・・・」
その言葉の先・・・
ぐっと抱きしめられるその腕の中に私がいる・・・
「・・・・・・・・・・私は、の事を本当は・・・」
「もう・・・何も仰らないで・・・」
抱きしめられたその温もりを・・・今だけは・・・
私の願いが叶ったと思っていいですか?
貴方の言葉の先を知るのが怖くて・・・
でも本当はとても聞きたくて・・・
だけど・・・・
それを聞いてしまったら
きっと私は止まらなくなってしまう・・・
だから・・・
「私は貴方を愛しています・・・サガ様」
「・・・」
「でも・・・貴方の言葉を聞きたくないのです」
「・・・・・・・」
「だから・・・今だけでもいいのです。こうしていて下さい」
悲しい程に切なくて・・・でも嬉しくて・・・
ああ、私は何て我儘なのでしょうか?
でも貴方のこの温もりを感じられているだけで
今は満足だと思っています。
いつか・・・
貴方の言葉を聞けるようになるまで
もう少しだけ・・・
このままでいさせてくださいね。