このまま、貴女に溶けて行きたい。
私の想いも・・・命も・・・
「シオン、どうなさったのですか?」
教皇の間で、シオンに話しかける女性。
腰ほどまで伸びた髪を緩く結い、
淡い紫の瞳でシオンを優しく見つめる。
「いや、何でもない。それより、・・・」
そう言って、を後ろか抱き締める。
ふわりと香る甘い香りに、シオンは酔いしれた。
「シっ…シオン!!」
「何だ?」
「まだ執務中ですよ?」
「構わん…」
シオンはを抱く腕に力を入れる。
は苦笑しながらも、シオンに身体を委ねた。
「ねぇ、シオン。」
「ん?」
「今度の休日はいつですか?」
「明日は休みだが…何かあるのか?」
そう言うシオンにはくるりと振り返り、
シオンの胸に顔を埋める。
「何かないといけませんの?」
「いや…そうではないが…」
「ただ、一日ゆっくりとシオンと二人で過ごしたいのです。」
はくすっと笑う。
その笑顔にシオンも微笑み、の顎に手を添えた。
そしてゆっくりと自分の顔に近づけていく。
「そうだな…私も最近忙しかったからな。
久々の休日は愛しい女と共に過ごしたい。」
「んっ…シオン…」
そっと唇に触れるだけのキスを交わす。
それだけで、身体が熱くなる。
シオンは何度かそんなキスを交わすと、
ふと真面目な表情でを見た。
「…このまま…お前はどこにも行かないでくれ…」
「何を急に言い出すのですか?」
「いや…ふと思ったのだ。なぜか、今日はがどこか
遠くへ行ってしまうのではないかと…。」
シオンはぎゅっとを抱き締めた。
そんなシオンにも優しく抱き締め返す。
「私はどこにも行きませんよ?シオン、貴方の居る場所が
私の居る場所ですから。」
「お前は…甘いな…」
「えっ?」
「その甘い香りで私を溶かしていく…もう戻れぬ程な…」
「香水くらいで…」
「いや、違う。の香りだ…」
そう言って今度は深く口付けをする。
呼吸が止まるほど深く…そしてどこまでも熱い口付けに、
の身体から力が抜けていく。
そんなの身体をしっかりと抱き止め、
シオンは満足そうにそしてどこか意地悪く笑う。
「…明日から休日と言ったが…」
「はい…?」
「今からにする。」
「えっ…きゃっ!!」
ひょいっとを抱き上げ、
シオンはサイコキネシスで扉を開ける。
そして、そのまま自室へと歩いていった。
「シっ…シオン!!!執務が!!!」
「心配いらん。ちゃんと埋め合わせはする。」
そのシオンの台詞にはどうだか…と頭の中で苦笑する。
シオンはそのまま自室へ着くと、そっとをベッドに寝かせる。
「あの…シオン?」
「ん?」
「この体制は何でしょう???」
ベッドに寝かせたの上に覆いかぶさるように、
シオンはいた。
の問いにくすくすと笑いながらも、
ゆっくりと身体を重ねていく。
そして…
「何とは…知れたことだ…。」
「…んんっ!!」
甘い口付けを交わすと、シオンはの耳元に囁いた。
「という愛しい女を抱きながら過ごすだけだ…」