想いを告げるには、人それぞれの方法がある。
だから、その人らしく、その人の想いが
伝わればいいと思う。
「・・・はぁ、私としたことが・・・」
双児宮でサガはため息をついていた。
そのため息の理由・・・
俗に言う『恋煩い』。
「全く・・・子供か・・・本当に。」
職務には手がつかず、
かといって本人にどうやって気持ちを伝えるか。
そんな事を考えていると、何も手がつけられないのであった。
「は一体どんな男が好きなのだろうか・・・」
サガはそう呟くとキッチンへ向かい、
熱いコーヒーを炒れた。
サガがそんな事を思っている時間、
ここ宝瓶宮の主もサガと同じような悩みを抱えていた。
「・・・・・・・・・あっ」
足元に落ちる書物。
どうやらかなりぼーっとしていたようだった。
「ふっ・・・私らしくないな。こんな姿は氷河に見せられん。」
そう言って書物を本棚に戻した。
そして、ふと思い出すあの女性の姿。
「・・・君は今何をしているのか・・・」
そう、サガとカミュ。
二人は同じ女性の事を考えていた。
もちろん、二人は知らない。
お互いに惹かれている女性が同じだとうことを。
「う〜ん、いいお天気♪」
は家の中から外を眺めていた。
「久しぶりに散歩にでも行こうかな〜」
そう言うとベッドから降りる。
久しぶりの休日。
普段は巫女の服しか纏っていない為、
プライベートな服装は巫女仲間以外知らない。
は真っ白いブラウスとGパンという軽装に着替えた。
「さてと・・・せっかくだから街まで行こうかな。」
は外に出て深呼吸しながら歩き出した。
「・・・・・・久しぶりに出かけるか。」
パタンと本を閉じ、カミュは宝瓶宮を出ることにした。
カミュも普段と違い、蒼いシャツにGパン、上着とラフな格好をしていた。
「サガ、お前も出掛けるのか?」
丁度、双児宮で出かけようとしているサガに会った。
サガはカミュの声に振り返り頷く。
「ああ、久しぶりに休暇を街で過ごそうかとな。カミュも出掛けるのか?」
「ああ、一緒に行くか?私も丁度街に行こうかと思っていたのだ。」
という事で、カミュとサガは一緒に街に出かけることにした。
「やっぱり平日は人少ないなぁ」
はお気に入りのカフェで紅茶を飲みながら大通りを眺めた。
隣にはさっき買ったばかりの洋服の入った袋を置いて。
「ふぅ・・・そうだ!何かアクセサリーでも買おうかな。」
はよいしょと荷物を抱えて店を出た。
「・・・あっ、カミュ様とサガ様だ。」
店を出てすぐにカミュとサガの姿を見つけたは、
二人へ声をかけた。
「カミュ様〜サガ様〜お出掛けですか???」
一方、カミュとサガは一瞬動きを止める。
が、すぐに驚いた表情でを見つめた。
「・・・か?」
「・・・・・・誰だか分からなかった・・・なぁ、サガ。」
「ああ。」
「やだな〜私そんなに顔覚えられていないんですか?」
はニコリと微笑む。
ドキッ
その微笑にサガもカミュも胸を高まらせる。
『・・・愛らしい・・・』
その瞬間、サガとカミュの視線がぶつかる。
『サガ・・・もしやが好きなのか?』
『まさか、お前もか・・・カミュ。』
『そうか・・・だがこれは譲れないな・・・』
『私も同じだ、カミュ。』
『さて、どうしたものか・・・』
『さぁな、正々堂々と勝負・・・か?』
『お互いにな・・』
二人が小宇宙で会話していることなど知らず、
は不思議そうに二人を見ていた。
「あの〜」
の声にはっとし、二人はニコリと微笑む。
「ああ、すまぬ。、もう帰るのか?」
サガはふっと笑いに声を掛ける。
「あっ、いえ。今からアクセサリーでも見に行こうと・・・」
すると今度はカミュがに声をかけた。
「そうか、では私も一緒に行っても構わないか?」
「えっ???」
「いや、私も何か買いたいと思っていたのだ。」
ちゃっかりの肩を抱きながら笑うカミュ。
『なっ、カミュ!ずるいぞ!』
サガはカミュに小宇宙で話しかける。
が、カミュはというとサガに不敵な笑みを浮かべていた。
『何を言う。成り行き・・・だ』
「じゃぁ、一緒に行きますか?」
は少し顔を赤くしながらもカミュに言う。
「ああ、では行こうか。」
サガを置いていこうと思ったが、が
「サガ様も」と言うので一緒に行くことにした。