目覚めよ・・・
幾星霜の月日を越えて・・・
舞い狂え・・・
幾千幾億の漆黒の羽根と共に・・・
私は闇に染まりし者・・・
私と共に生きよ・・・
私の魂を求め、私の魂を受け入れよ・・・
古に生きたこの想いを・・・
受け継ぐ為に・・・
第二話・・・目覚めの時間
「一体・・・何だというのだ・・・。」
カミュの目の前には異様な小宇宙に包まれ、俯いたが立っていた。
ゆらゆらと揺れるの漆黒の髪は、その小宇宙そのものの色をしていた。
「・・・・・・・・・」
『・・・私を・・・解放・・・し・・・』
普段のとは全く違う声。
そして、ふっと上げたその表情は・・・
「なっ!!!」
深い蒼がいっそう深くなり、唇はまるで血を着けたかのような真紅。
少し目を細めた後、見開きカミュを見据えた。
バンッ・・・
「くぁっ!!!!!」
強烈な小宇宙がカミュを襲う。
とっさに受身を取り、体制を立て直す。
が・・・
『お前、聖闘士か・・・』
「っ・・・」
顔を上げた瞬間、すぐ目の前にの顔があった。
そして、カミュの目をじっと見つめる。
『アクエリアス・・・か。・・・・・・丁度いい、お前から頂くとしよう・・・』
そう言うと、カミュの首を両手で掴む。
「ぐっ・・・な・・・に・・・」
『・・・殺しはしない。』
「ぐあああああああああああ!!!!!」
もの凄い勢いで身体から小宇宙が吸い取られていく。
その感覚はまるで生気を吸われるような・・・
そして苦痛を伴っていた。
ペロッ
紅い舌を出し、微笑む。
カミュは必死にその苦痛を取り除こうとしていた。
「ダ・・・ダイヤモンドダスト!!!」
『!』
バサッと音を立て、がカミュから離れた。
肩で息をしながら、カミュはよろよろと立ち上がる。
はカミュの放ったダイヤモンドダストにより、
凍っている片腕を見た。
ゆっくりその腕を振り払うと、氷の結晶はハラハラと消えていった。
その光景を驚愕した面持ちで見つめるカミュ。
そして・・・
『凍気とは・・・無駄な事を・・・私を凍らせるにはまだ足らぬようだ・・・』
「聖域から小宇宙が消失していく事件の黒幕は・・・」
カミュがに言いかけた時、背後に覚えのある小宇宙をいくつか感じた。
「カミュ!!!」
「一体何事だ!」
シュラとサガがカミュの下に駆け寄る。
カミュはシュラに肩を借り、サガはもう一つの小宇宙の持ち主を見て驚愕した。
「誰だ!?」
丁度欠けていた月が姿を現した。
月光の中に浮かび上がる漆黒の小宇宙。
「まさか・・・」
「だ・・・」
カミュの声にサガとシュラは驚き、カミュを見る。
カミュは一度頷くと、を見つめた。
『・・・ああ、この身体の名か・・・』
は自分の身体を一度見てサガを見た。
ゾクッ
冷たい汗が教皇服の中を滑り落ちる。
今まで感じたことがない。
いや、この威圧感はどこかで感じたことがある。
「何故・・・この小宇宙は・・・」
「分からん。だが・・・小宇宙消失の原因は・・・」
サガとシュラが顔を見合わせて話す。
『私ではない・・・』
ふわりと空中で足を組み、三人の前に近寄る。
『アクエリアス、先ほどは済まぬ事をした。私にも糧が必要だったのだ。』
「糧だ・・・と?」
『そう・・・私自身を護る為の・・・この身体を護る為の・・・』
「お前・・・何者だ!」
シュラは右手を構えてに問う。
もし・・・敵とみなしたら容赦なくエクスカリバーを放てるように・・・
『私は・・・エイパス・・・闇に身を落とした・・・アテナの聖闘士・・・』
「「「何!!!」」」
三人の声が重なる。
『私の魂は・・・遙か古の時代に闇に落ちた。
故に・・・代わりの魂に聖闘士の証を譲らなければならなかったのだ。』
「遙か古だと・・・」
サガが問うと、は静かに頷いた。
『そう・・・神話の時代に・・・昔話をしよう・・・』
「それがこの事件と関係あるのならば・・・聴こうではないか。」
シュラの言葉にカミュとサガは頷いた。
もシュラの言葉に頷くと、すっと手を挙げ、
三人を宙に浮かせる。
「うわっ!!」
「・・・!」
「なっ・・・!」
『あの場所がいい。そこで話をしよう・・・』
そう言って、三人を先ほどまでカミュとがくつろいでいた場所まで運んだ。