。」

「パンドラ様、お久しぶりですね。」

アテナ―沙織と話をしていたパンドラがに気付き声をかける。
はパンドラに近付き会釈をすると、ふわりと微笑んだ。

「お前とは平和条約を結ぶ会談以来だ。息災そうで何よりだな。」

「はい、パンドラ様や他の方々もお変わりなく・・・」

はパンドラの傍に立っているラダマンティスにも声をかけた。

「ラダマンティス様、お久しぶりですね。」

「ああ。」

そう答えたラダマンティスはじぃっとを見る。
は不思議そうに首をかしげて尋ねた。

「私、どこかおかしいですか?」

「・・・いや、よく似合うと思ってな・・・パンドラにも似合いそうだ。」

「「「・・・・・・えっ?」」」

沙織、パンドラ、の三人の声が重なる。
ラダマンティスは、はっと気付き三人を見る。

「ラダマンティス様・・・」

「もしや貴方は・・・」

「・・・・・・・・・////////」

沙織とが次にパンドラを見る。
パンドラはどこか頬を赤らめていたが、はぁっと
ため息を付くと、ラダマンティスに向かって体を向けた。

「いえ・・・その・・・パ・・・パンドラ様!?」

「・・・・・・ラダマンティス」

「・・・・・・は・・・」

少し低めの声でラダマンティスを呼び、
近くに来させると勢いよく頬を打った。

「ーーーー!!!」

「愚か者!!!!こんなところで呼び捨てにするな!!!!」

「パっ・・・パンドラ・・・貴女達は・・・・もしかして」

沙織の視線を受け、パンドラは振り返り少し照れたように

「お前の思う通りだ・・・アテナ。」

とだけ小さく呟くと視線をに移す。
は終始それを見て微笑んでいた。
パンドラとラダマンティスの事は前々から知っていた。

「パンドラ様、よいではありませんか?
ラダマンティス様も本気でそう思っていらっしゃるのでしょうから。」

「・・・・・・が言うなら今回だけは許す。ラダマンティス・・・」

「は・・・」

「次は許さぬからな・・・」

「申し訳ありませんでした。」

そのやり取りを遠くからアイアコスが見てくくっと笑う。
先程、ミーノスに言った言葉をそのままラダマンティスに返そうとも
思ったが、それはラダマンティスのプライドに関わるだろうとやめた。

「ラダマンティス。」

「・・・アイアコスか・・・」

「パンドラ様、我々は先に会場に行きます。」

「分かった・・・」

アイアコスの助け舟にラダマンティスは小さくなりながら
アイアコスの後についた。
アテナはそんな彼らを見て微笑み、
パンドラは未だに恥ずかしそうにしていた。

「パンドラ、あまりラダマンティスをいじめては可愛そうですよ?」

と沙織が微笑む。
パンドラは

「けじめだ。」

と短く答え苦笑した。

「パンドラ様、幸せそう・・・」

が呟く。
沙織とパンドラはその言葉に驚く。
が、すぐに意味を理解した。

・・・お前・・・」

「貴女、やっぱり・・・」

しんみりとを見る二人に、慌てて笑顔を作る

「ちっ・・・違いますよ!!私は後悔しませんし、今のパンドラ様、
凄く幸せそうに見えたんですから・・・だから・・・だ・・・から・・・??」

自分の意思とは関係なく涙が溢れてくる。
パンドラはすっとハンカチでその涙を拭ってやった。

・・・お前本当は・・・」

パンドラが何か言いかけたその時、外で大きな音がした。

「なっ・・・何事ですか!!」

沙織の表情がアテナへと変わる。

「この小宇宙・・・ミーノスとお前の聖闘士だな・・・」

パンドラの言葉にの脳裏に先程の二人が浮かぶ。

「ミーノス様!カミュ!!!」

「お待ちなさい!!!!!」

「今は危ない!!戻れ!!!!!!」

沙織とパンドラの言葉はに届かず、
は庭園に向かって走り出していた。
その様子に沙織はミロを、パンドラはラダマンティス呼び、
急いで後を追わせた。















「オーロラエクスキューション!!!!」

「コズミックマリオネーション!!!!」

庭園でカミュとミーノスがお互いの技を掛け合っていた。

「っく!!!」

「っう!!!」

二人の小宇宙は最大限まで高まり、
庭園は二人を中心に渦を巻いている。

「うわぁぁっ!!」

「くぁぁぁっ!!」

何度目かの衝撃の後、二人は後方に飛ばされる。

「カミュ!!」

「ミーノス!!」

二人の身体を支えるようにミロとラダマンティスが現れる。

「カミュ!!お前何やってんだ!!」

「ううっ・・・ミ・・・ミロ・・・」

「お前もだ!!ミーノス!!」

「ラ・・・ダマンティス・・・か・・・・」

よろよろと立ち上がる二人は視線をぶつけ合う。
ミロはカミュを制止しようとしたが、
全く効果はない。
それはミーノスを止めようとしている
ラダマンティスも同様だった。

「おい!!!は!!!!」

「そうだ!!ミーノス!!俺達より先にが来たはずだ!!」

「「なっ・・・何!?」」

ミロとラダマンティスの言葉にカミュとミーノスが辺りを見る。
お互いに、周りなど気にしてなかった。

「まさか!!」

ミロが声をあげ、周囲の小宇宙を探る。
と、気を失っているを抱きかかえたシオンが来た。

「「!!!」」

カミュとミーノスがシオンへと近付く。
シオンは瞳を閉じたままでいた。

「・・・案ずることはない。
丁度アテナ神殿から私が出た時に駆け出すを見つけ、
後を追ったのだ。・・・とっさに小宇宙で防御したが、常人には
あの闘気は強すぎたのだろう。まともに受けたようだ・・・」

とシオンは瞳を開けを見る。
そのまま、を抱きかかえ、教皇宮へと足取りを向けた。

「カミュ・・・ミーノス・・・」

シオンは二人の名を呼び、振り向きもせずに言葉を続けた。

「今日の式は延期だ。アテナからもその方がいいと許可を頂いた。
少し、頭を冷やすのだな・・・」

と言い放ち、再び教皇宮へ向かった。
ミロは思いっきりカミュを殴る。
カミュはそのまま倒れこんだ。

「お前馬鹿か!!!」

「ミロ・・・」

「シオンがいたからいいものの、
に何かあったらどうしたんだ!!!」

「・・・・・・・・・・・・」

ミロの言葉に、カミュは殴られた衝撃で切れた唇から流れる血を
拭いながら地面を見た。

「それはお前にも言える、ミーノス。」

「・・・・・・・・・・・・」

「今回ばかりはそこのアテナの聖闘士と俺も同意見だ。
・・・・延期になったのなら丁度いい。頭を冷やせ・・・。」

「・・・・・・・・・・・・」

ラダマンティスの言葉にミーノスは無言のまま、
カミュに視線を移す。
カミュはその視線を感じ、ミーノスを見た。

「・・・先程、貴方が言った言葉・・・どうやら本気のようですね・・・」

「・・・・・・ああ。」

ミーノスとカミュの会話にミロとラダマンティスが首をかしげる。

「本気で・・・を奪うつもりですか!!!」

「・・・・・・本気だ!!!」

ごぉぉぉっとカミュの周りを凍気が包む。
ミーノスも負けじと小宇宙を燃やす。

「馬鹿か!!!お前ら!!!」

「やめろ!!ミーノス!!!」

ミロとラダマンティスはとっさに小宇宙で防御をする。

「オーロラエクス・・・・・・!!!」

「コズミックマリ・・・・・・!!!」

「「おやめさない!!!!!!」」

重なる二つの声に、カミュとミーノスの動きが止まる。
4人の視線の先にはアテナとパンドラの姿があった。

「・・・カミュ、話があります。」

「お前もだ、ミーノス。」

「「・・・・は」」

「ミロ、ラダマンティス。ご苦労様でした。」

「後は我々が話をする。下がっておれ・・・。」

ミロとラダマンティスはその言葉に頭を下げ、その場を立ち去った。

「・・・カミュ。」

「・・・は、申し訳・・・ありません。」

「ミーノス。」

「パンドラ様・・・」

アテナはカミュに近付き、カミュは膝まつく。
パンドラも同様にミーノスに近付いた。
そして・・・・

ばちぃぃぃぃぃぃん!!!!

二人が同時に二人の頬を打つ。
カミュもミーノスも呆然とし、打たれた頬を押さえていた。

「カミュ、貴方は何をしたか分かっているのですか!?」

「ミーノス、お前もだ!!」

アテナとパンドラの言葉にカミュとミーノスは、ただ頭を下げるだけだった。

「「・・・・・・」」

「カミュ、貴方がを想う気持ちは分かります。」

「ミーノス、お前も同じだ。だがな、お前ら二人の意見だけで、
が苦しむのは見たくない。」

「私もパンドラも純粋にには
幸せになってもらいたいのです。」

はお前達の人形ではないのだ。」

その言葉に互いを見やるカミュとミーノス。
アテナとパンドラは深くため息をつき、
踵を返した。



「・・・・・・・・・・。」

暫くしてミーノスは立ち上がる。

「・・・どこへ行くのだ・・・」

カミュの問いにミーノスは短く

のところだ」

とだけ答える。
カミュも立ち上がると、ミーノスの後に続き教皇宮へと向かった。















「・・・大変です・・・ね・・・これは・・・・」

「・・・ああ。シオンが言うには
まともに二人の闘気を受けたらしいが・・・」

教皇宮の一室で、ムウとシャカがを診ていた。

「・・・ふむ・・・これは一度行くしかあるまい・・・」

「シャカ!?危険ですよ!!
一歩間違えればだけではなく貴方も・・・」

「しかし、このままではまずかろう?」

ぎいっと音がして、ムウとシャカが振り返れば、
そこにはカミュとミーノスの姿があった。

「お前達・・・」

「ムウ・・・シャカ・・・・は・・・」

カミュの言葉にムウが首を横に振る。

「貴方たちの闘気を受けた事で、彼女は今、心を閉ざしています。
恐らく、自分のせいで貴方たちを戦わせたと悔いているのでしょう。」

「外界の事を完全に受け付けない。我々に出来ることは二つ。」

「二つ?」

シャカの言葉にカミュがに近付き、手を取る。

「一つはが自ら目覚めるのを待つ。・・・かなりの時間がいるだろうが。
もう一つは・・・・」

「もう一つは何だ?」

ミーノスはシャカの隣にある椅子に腰掛ける。

の精神世界に行く。そこでを説得する。」

「馬鹿な!!」

シャカの言葉にミーノスが声を上げる。

「それは間違えれば死を意味するのですよ!?身体ではない、精神のです!
そんな危険な事出来るわけがあ・・・・」

「私が行こう。」

ミーノスの言葉を遮り、カミュが答える。
カミュはの手をしっかりと握ったまま言った。

「カ・・・カミュ・・・貴方は・・・」

ミーノスはカミュに視線を送る。
カミュはを見つめたまま、ミーノスに答えた。

「元は私のせいだ。・・・ならば私が行くしかあるまい。
それに・・・は死なせない・・・」

その言葉にムウとシャカは頷き、シャカがカミュの隣に座った。

「カミュ、今から君の精神をと同調させる。
これだけは覚えておきたまえ、何があっても攻撃してはならない。
今から君が行くところ全てがなのだ。」

「・・・ああ。」

「そして、見つけるのだ・・・本物のを。」

そう言うと、シャカが小宇宙を燃やす。

「そんな危険を冒してまで貴方という人は・・・」

ミーノスの肩をムウが軽く叩く。

「カミュはそう言う男です。・・・・・・だからも彼を」

そう言って視線をカミュに移す。
ミーノスもカミュとシャカに視線を移した。
眩い光が一瞬にして部屋を覆う。
次の瞬間、カミュの身体は大きく傾き、
シャカはその身体を支えた。

「・・・シャカ」

「ふむ・・・後はとカミュの問題だ・・・」

二人を見てシャカが言う。
ミーノスはぎりっと奥歯を噛み締め、二人を見つめた。